個人再生から任意整理に変更する方法と切り替えの注意点を解説

個人再生を選んだけれど、途中でやはり任意整理に変えたいと考える方は決して珍しくありません。

一度個人再生をすると決めたら、もう任意整理へ変更できないのでは…
と不安になるかもしれませんが、状況によっては手続きの途中でも個人再生から任意整理へ方針を変更することは可能です。
任意整理は個人再生や自己破産ほど利用条件が厳しくなく、「この状況では絶対に任意整理できない」というケースはほとんどありません。そのため、個人再生から任意整理への切り替えも比較的柔軟に行うことができます。
この記事では、個人再生から任意整理に変更する具体的な方法と注意点について、初心者にもわかりやすく解説します。一人で悩まず専門家に相談すれば、きっと解決への道が見つかります。ぜひ参考にしてみてください。
個人再生から任意整理への変更は可能?いつまでできる?
結論からいうと、



個人再生から任意整理への変更は「個人再生の申立てを行う前」であれば可能です。
まだ裁判所へ個人再生の正式な申立て(手続き開始の申し立て)をしていない段階であれば、特別な手続きを取らなくても、依頼している弁護士に「任意整理へ方針変更したい」旨を伝えるだけで切り替えることができます。
一方で、裁判所に個人再生を申立てた後では、原則として任意整理へ切り替えることは難しくなります。
厳密には、申立後でも裁判所の「再生手続開始決定」が出る前であれば申立ての取下げ(手続きの中止)が可能な場合があります。
しかし、申立て当日に開始決定が出て手続きが始まってしまうケースも多く、いったん裁判所で個人再生手続きが開始されると、途中でやめるのは極めて困難です。
さらに申立て後に個人再生を取り下げても、裁判所に支払った予納金(手続き費用)は返金されません。せっかく支払った費用が無駄になってしまう恐れがあるのです。
以上のように、個人再生から任意整理へ方針変更するならタイミングが重要です。
後述するような理由で「やはり任意整理にしたい」と感じたら、できるだけ早めに対応しましょう。
個人再生の申立て前であれば切り替えは十分可能ですので、迷っている場合は申立てを急がず、一度立ち止まって方針を検討し直すことが大切です。


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個人再生から任意整理に変更した方が良いケース
一度個人再生を選んだにもかかわらず、途中で任意整理へ変更を検討する背景には、さまざまな事情や理由があります。人それぞれ状況が異なるため一概には言えませんが、代表的なケースをいくつか紹介します。
家族に秘密で手続きを進めたいとき
「借金の事実を家族に知られたくない」「同居の家族に心配をかけたくない」という場合です。任意整理であれば裁判所を通さないため、手続きを家族に知られずに進めやすいメリットがあります(郵便物が自宅に届く心配も比較的少ないです)。
反対に個人再生は裁判所を介する分、手続き書類や連絡が増え、家族に察知されるリスクが高まります。特に保証人がいる借金がある場合、個人再生では保証人にも通知が行くため、秘密で進めることは困難です。
特定の借金を整理対象から外したいとき
たとえば、連帯保証人がついている借金や自宅・車のローンなど「この借金だけは迷惑をかけたくない」「手放したくない」というものがあるケースです。個人再生では基本的にすべての借金を整理対象に含めなければならず、一部の債務だけ除外することはできません。
そのため、保証人付きの借金も含めて減額や支払い猶予を求めることになり、保証人に請求がいく可能性があります。任意整理であれば、特定の債権者(借入先)だけ手続きの対象から外すことも可能なので、保証人付きの借金や担保(車など)があるローンを除いて手続きを進めることができます。
こうした点から、特定の債務を守りたい場合は任意整理への変更を検討する人がいます。
手続き費用や経済的負担を軽減したいとき
個人再生は裁判所を利用する分、費用が高額になりやすい手続きです。弁護士費用に加え、裁判所への予納金なども必要となり、トータルの費用負担は任意整理より大きくなる傾向があります。
また、手続きも複雑で時間がかかるため、その間の生活再建計画を立てる負担も重いです。「借金の減額幅は魅力だけど、費用面・手間の面で厳しいかも…」と感じて任意整理に切り替えるケースもあります。
任意整理であれば依頼する専門家への費用も比較的少額(債権者1社あたり数万円程度が目安)で、裁判所の費用も不要なため、経済的・心理的ハードルが下がります。
手続き後の返済計画を見直したいとき
個人再生では借金元本を大幅圧縮できるとはいえ、減額後の借金を原則3~5年で返済していく必要があります。一方、任意整理では元本こそ減りませんが、将来利息のカットや長期分割払いの交渉によって「無理のない返済計画」に調整することが可能です。



減額幅より毎月の返済額の方が大事!長期間かかってもいいから着実に返したい!
と考える人は、任意整理の方が自分に合っていると判断することがあります。
以上のように、個人再生から任意整理への変更を検討する理由は人それぞれです。借金の総額や減額できる金額だけで機械的に手続きが決まるわけではなく、「誰にも知られたくない」「この財産だけは守りたい」といった個々の事情や優先したいことによって最適な解決方法は変わります。
たとえ借金が高額でも収入や支出の状況次第では任意整理で完済できる場合もありますし、逆に減額幅が大きくても手続き上のデメリットが受け入れ難いこともあります。大切なのは、自分の希望や状況に合った方法を選ぶことです。



やはり任意整理にしたい
と感じたら、まずは依頼中の弁護士に正直に相談してみましょう。 その際、自分が何を優先したいのか(家族に秘密にしたい、費用を抑えたい等)をきちんと伝えることが大切です。



債務整理の最終的な方針を決めるのはあくまで債務者本人ですので、遠慮する必要はありません。
もし現在依頼している弁護士が話を聞いてくれず、「任意整理への変更はダメだ」と強引に個人再生をすすめてくるようであれば、セカンドオピニオンとして別の専門家に相談することも検討しましょう。
個人再生から任意整理へ変更する具体的な方法
実際に個人再生から任意整理へ方針変更する場合、どのように手続きを進めれば良いのでしょうか。ここでは、変更の流れと対応策を解説します。
1.依頼中の弁護士に「任意整理へ変更したい」旨を伝える
すでに個人再生手続きについて弁護士(または司法書士)に依頼している場合は、できるだけ早く方針変更の意思を伝えましょう。
申立て前であれば手続きの変更は難しくありません。
弁護士にはサポート役として、債務者であるあなたの意思を尊重する義務があります。方針を変更したい理由(家族に秘密にしたい、特定の借金を除外したい等)も併せてきちんと伝えれば、基本的にはその意向に沿って手続きを任意整理に切り替えてもらえます。
現在準備中の個人再生の書類作成や手続き進行をストップし、各債権者との任意整理(和解交渉)手続きへ移行してもらいましょう。もし司法書士に依頼している場合は、任意整理で扱える借金の額に上限(※140万円まで)がある点に注意が必要です。
その場合も含め、弁護士であればどんな金額の借金でも任意整理が可能ですので、必要に応じて専門家を変更することも検討してください。
2.現在の弁護士が応じない場合は、他の専門家に改めて依頼する
まれに、依頼中の弁護士が債務者の意向を無視して「任意整理への変更はできない」と取り合ってくれないケースもあります。また、「個人再生の準備に入っているから今さら変更すると追加の費用がかかる」などの理由で渋られることも考えられます。
そのような場合には、弁護士を交代して別の法律事務所に任意整理を依頼し直すことも可能です。新たに依頼し直す手間や費用はかかりますが、それでもあなたが優先したい条件を叶えられる方針に変更できるメリットは大きいでしょう。
💡 他の専門家へ相談・依頼するときのポイント
現在の弁護士に言い出しにくい場合や、方針変更に反対されて困っている場合は、他所の法律事務所で無料相談を受けてみるのも一つの方法です。
他の弁護士にセカンドオピニオンを求めることで、今の方針が適切か客観的なアドバイスをもらえますし、任意整理へ変更した場合の見通しについても説明してもらえます。無料相談なら費用を気にせず気軽に相談できますので、「とりあえず話だけ聞いてみたい」という段階でも遠慮はいりません。


個人再生から任意整理へ切り替える際の注意点
タイミングに注意
個人再生を裁判所に申立てた後では手続きの変更がほぼ不可能になります。切り替えるなら申立て前の段階で決断することが重要です。迷ったら早めに弁護士へ相談し、ベストなタイミングを逃さないようにしてください。
信用情報(ブラックリスト)への影響
任意整理にしても個人再生にしても、いわゆる「ブラックリスト」(※信用情報機関に金融事故の情報が登録され、新規の借入やクレジットカード発行ができない状態)に載る期間は大きな違いがありません。
どちらの手続きでも事故情報は約5~10年程度は残るのが一般的です。手続きを変更したからといって信用情報が早く回復するわけではないため、この点で過度な期待をしないようにしましょう


手続き費用が増える場合も
個人再生から任意整理へ切り替える場合、既に支払った費用が無駄になる可能性があります。たとえば個人再生のために裁判所へ予納金を納めていた場合、それは返ってきません。
また、任意整理を改めて依頼し直す際には新たに専門家費用が発生します。結果的に二重の費用がかかってしまう恐れがある点は理解しておきましょう。費用面で不安がある場合は、事前に弁護士へ見積もりや支払い方法(分割払い等)が相談できるか確認しておくと安心です。
返済総額と今後の支払い計画が変わる
任意整理では借金の元本自体は減額されないため、今後返済していく総額は個人再生を続けた場合より多くなる可能性があります。その分、毎月の返済額が増えたり返済期間が延びたりすることも考えられます。
その返済計画で完済まで無理なく支払い続けられるか、切り替え前にしっかりシミュレーションしておきましょう。場合によっては「任意整理に変更したものの返済が厳しくなり、結局行き詰まってしまった…」という事態も避けなくてはなりません。現実的に完済可能かどうか、対応してくれる専門家とも十分に検討することが大切です。